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2006年3月31日 (金)

好きだ、考

昨日の続きです。
どこが気に入らなかったのか。
やはり後半ですね。
前半はふたりのかなり複雑な思いが出ていてよかった。

ふたりはたぶん幼なじみのようなもので、
彼女は彼氏が気になっている。
一方彼氏は彼女より彼女のお姉さんの方に興味がある。
お姉さんは大事な人を亡くして精神状態が不安定である。
彼女が気を遣って彼氏とお姉さんを取り持つも
実際ふたりになるとぎこちなく、間が持たない。
そんなとき、彼女が取り持った彼氏との約束に行く途中で
お姉さんは事故に遭い、意識不明となってしまう。
自責の念にかられながら、ある日川縁のいつもの場所で
彼女は彼氏に衝動的にキスをしてしまう。
彼の思いは彼女に移りつつあったが、
突然のことに驚き、その場を立ち去ってしまう。
彼女は彼氏とのつながりも失ってしまい、ただただ涙を流す。
その精神的なショックは大きく、それから彼氏に会うこともなくな
る。

これで終わりにするか、10年後の再会というならどうにかなるような気がしますが、
この映画での再会は17年後、どこか人生に疲れたふたりが出会います。
17年というのは長い。それもいろんなことがある20代をはさんでいる。
出てくる言葉は「好きだ、」ではなくまず「好きだった」ではないのか。
そうでないとふたりの「現在」について失礼な気がします。

後半は設定も甘い。
なぜ彼はあんなことで刺されなければならなかったのか?
彼女は彼の搬送先をどうやって知ったのか?
その前にサシで飲むくらいなら携帯番号くらい教えるでしょ?

今回は人が死ぬシーンはないけど、
このひとはそういうものを軽くファンタジックに描きすぎる。
前作の悪い面が引き継がれてしまっているように思いました。

ちなみに後半のシーンは吉田秋生の「櫻の園」の最初のエピソードとかぶって見えます。
ちょっと長いですが、引用。

「あたしもねぇ高2の時好きなひとがいたの。
陸上部の人でね、学校帰りよくグランドで練習してるとこ見に行ったわ。
金網ごしにトラックを走るあの人のこと、いつまでも見てたわ。
あんな幸福なことってなかった。
それからつきあうようになって…
きょうひさしぶりにほんと偶然に会っちゃったのよ。
いっしょにお酒飲んだの。久しぶりって言って--
いろんな話して…なつかしいねって。
あたし思ったのきっと誘われるだろうなって。
あの人言ったの「今夜帰んなきゃいけないの」って
あたし、きっと泣きそうな顔していたと思う。
あたしうそついた、言えなかったわ、もうすぐ結婚すること。
あたしきっと誘ってもらいたかったの。
「それはやっぱりマズイわよ」って言って
ああ10年たったんだなってほんとに思った。
あれから10年たっちゃって…
こうあたしも17の女の子じゃないし、あのひとも18の男のコじゃない。
もう、あの頃のあたしたちじゃあないんだなあ。
10年たってあの人もそういうふうに昔の女を誘える男になったのね。
あたしもサラッとかわせる女になっちゃった。
もう、あのぎこちないキスは二度としてもらえないんだなあって思った。
初めての男なのよ。忘れられるわけがないわ。
忘れたら女じゃないわ…
本当に好きで好きでたまらなかったのよ…」

こっちのほうがリアリティがあるように思います。

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