« 阿部寛の結婚 | トップページ | 自転車通勤? »

2007年11月27日 (火)

あたまにきた話

仕事上で頭にくることって、あまりありません。
しんどかったり、へこんだりすることは多々ありますが、
施主、施工者とは基本的に信頼関係を築いて、もしくは築きながら仕事を進めますので。
逆に言うと、信頼関係を崩す者が口出ししたりする時は怒るのだと思います。

さて、ぼくの親族Aさんは、ぼくの今住んでいる土地で生まれ育ち、
今はここを離れていますが、この近所に小さな木造アパートを持っています。
アパートの管理は、これも近所の個人経営の不動産屋B社に任せていて、
自分とはご近所さんなので、アパート契約の更新時等にはよく店に出入りしています。
当然、先方はぼくの職業が自営の建築士であることは知っています。

アパートは築年数がかなりたっていて老朽化が進み、建て替えの話は随分前からありました。
これをぼくが設計するかどうかという話は、スケジュールも予算も見えなかったし、
自分の抱えている仕事との兼ね合いも予測できず、保留としていました。
が、ここ数ヶ月で住民の退去が進み、徐々に計画が具現化するに伴い、
敷地調査、法規確認、折衝といった下準備だけは時間のある時に進めていました。

3週間前、Aさんが当方を訪れ、設計の意思確認をされました。
ぼくがやる気があるなら任せるし、ないなら某ハウスメーカーに頼むとのことで、
いきなりハウスメーカーの名前が出てきて驚きましたが、B社との話のなかで出てきたようです。
結局ぼくが設計することとなり、その結果は某ハウスメーカーとつながりのある
B社にも伝わったはずで、実際その11日後にぼくはB社を別件で訪ね、意思確認されました。

その時にB社からアパート管理者として貸しやすい間取り条件を幾つかアドバイス頂き、
また相談するとの旨を伝えて店を後にしました。
そのなかには、1室25平米以上の物件のニーズがあり、月12万円近くでも
ワンルームで借り手がつくという、信じ難いような内容も含まれていましたが、
一応参考にして、全8室案の他に全6室案も考えることにしました。

今は確認申請制度が混乱状態になるので、トラブルを避けるためには
共用部がある「共同住宅」ではなく、戸建住戸の連結版である「長屋」にして
さらに木造とする必要があります。但しB社からは木造は難色を示されました。

以上の状況から、とりあえず案のたたき台として、共同住宅8戸、同6戸、長屋8戸、同6戸
それとメゾネット長屋4戸の計5案のプランを作成し、本日Aさんと打ち合わせてきました。
各案は基本的に0.9mグリッドに乗っ取っていて、まだ詳細寸法は詰められるという状態です。

案は8戸に即決しました。外廊下のない長屋も抵抗があるようで共同住宅となりました。
ただ、プランには気になる点が幾つかあるとのことで、それをその場で修正すると同時に、
敷地いっぱいまで建物を延ばし、寸法の微調整をしました。
構造は費用の問題があるので悩まれましたが、上下の遮音に優れた鉄骨造と一応決まりました。

と、ここでB社からAさんに電話がかかってきて、FAXが送られてきました。
今そこで打ち合わせをしているのを知ってか知らずか、
FAXは某ハウスメーカーによるアパートの提案図面でした。
表紙には「参考にしてください」と慎ましやかに書かれていましたが、
内容は敷地の測量図に基づいた寸法の入った具体的な基本設計図面でした。

ハウスメーカーは規模が大きいので、この程度の提案は無料でしてしまいますが、
現場調査から入れば1週間はかかる作業です。
つまり、アパートの設計をぼくが担当するのを知った後、動いていたということです。
電話口のB社のひとは、ハウスメーカー案を懸命に擁護しているようでした。

しかし、そこで送られてきた案は、その打ち合わせで直前に描かれたプランと瓜二つ。
違うのは、ぼくらの案ではユニットバスに洗面機能をまとめ、洗濯機パンの上に靴収納を設け、
居室を広くとるという点のみでした。ちなみに後者はAさんの発案です。

結果的にさしたる差もなく、優れた点もない、逆に2mの敷地隅切りを忘れているという
欠点のあるハウスメーカー案は却下され、むしろ不動産屋にこちらの案が裏打ちされ
結果、安心するということになったのですが、しかしB社のこの動きはぼくにとっての裏切りです。

要は仕事を横取りしようとしたわけです。ぼくの目の前で。
電話を横で聴いていてぼくの頭はかりかりと熱を発していました。
小さなアパートと言えど、総工費は3000万円を越えます。
ここでかじりつけば、将来的な補修工事等も囲ってしまえ、その額もかなりのものでしょう。
その額に目が眩んだのか、そのかわり将来的なぼくとの信頼関係を傷つけてしまいました。

いま、僕の住んでいる町は不動産屋の参入が極めて多く、競争過多の状態です。
そんななかで従来からの顧客の信頼を軽視して何がいいことがあるものか。

ぼくの祖父も個人経営で不動産をやっていました。
伝え聞いた話では、やくざな商売だと語ったとか。
祖父の店で一から育てた社員が独立したときに、
顧客をごっそり奪われたという不義理なことも過去あったようです。

ぼくの感覚では祖父の言葉は大手不動産、デベロッパーには感じるも、
個人商店はそうでもないのではないかと思っていましたが、残念ながら訂正せざるを得ないようです。

« 阿部寛の結婚 | トップページ | 自転車通勤? »

仕事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1932160/52389457

この記事へのトラックバック一覧です: あたまにきた話:

« 阿部寛の結婚 | トップページ | 自転車通勤? »