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2007年12月31日 (月)

まつもと市民芸術館

松本には旧開智学校をはじめとして、洋風な要素をとりいれた、Dscn4764
かわいいちょっとキッチュな古い建物が多く見かけられます。

その文脈にのっとったのか、この建物もポップな要素で
彩られていて、平面にも柔らかなラインが多く使われています。
しかし立体的プロポーションはとてもルーズなもので、
設計者の伊東さんがやりそうでやっていなかったデザインかも。

正面はぱっと見、以前伊東さんが設計した街の集会所を想起させます。
このあたりからオリジナリティの探求という力が抜けている。

なかに入ると正面に幅広の緩い階段と傾斜エスカレーターが見えます。
このエスカレーターに乗ると、ゆっくりと館中央の2階ロビーへ導かれ
緩やかに波打った右手の外壁に埋込まれたランダムなサイズの
おにぎり形ガラスブロックから漏れる光が徐々に変化していきます。

2階に達するともう片面の外壁面のガラスブロックの光も見えてきて
赤いカーペットが敷き詰められたロビー空間が出現します。
この2階ロビーをはさんで両側にシアターを配置し、
そこへの導入で見せるという計画手法は極めてオーソドックスで、
目新しいものではありませんが、曲面、特殊な開口といったいわば
装飾的なもしくは表装的な操作でこのロビーを美しい空間に仕立て上げています。

このあたりも非常に脱力しています。
プランは敷地条件に素直に沿っていて、ロビーへのアプローチスロープに
図書館を併設するという、ちょっと冒険的な試みをした、
古谷さん設計の茅野市民館のなどと対照的に見えます。
2階ロビーに置かれた半球をつなげたようなベンチは、せんだいメディアテーク
のときに妹島さんが設計した家具をそのまま発展させたようにも見えます。

おにぎり窓に見られるポップな要素は、そのベンチの他に
カフェの滴状ペンダント照明や黒いシアターの壁面のレリーフにも見られます。
それを素直に肯定、評価していいのか疑問に思ってしまうほど
とにかく楽しく美しい建築で、銀座のミキモトとは似て非なる存在です。

伊東さん設計のポップな方向のひとつの到達点を示す建物として必見。

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