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2008年6月10日 (火)

街づくり

「街づくり」に関して建築家は皆無条件に賛同するかというと、
そうではありません。少なくともぼくの場合は。

以前に近隣で建築協定を結ぼうという運動があり、ぼくの家にも
その発案者と、運動をバックアップする街づくりに詳しい建築家、
(もっとも図面は引いたことがないそうですが)が訪ねてきました。

発案者のメンバーには、少し前に道路を挟んだ対面の土地に
鉄筋コンクリート打ち放しの大きな壁の建物が建てられ、
「建築基準法違反だ」と道路面にでかでかと抗議文を張り出した家の
お嬢様がいらっしゃいました。

どうやらその辺りがきっかけとなった運動のようなので、
そのトラブルの話を振ると「あれは違法建築です!」と断言していました。
盛り土による地盤面設定がおかしいということだったようですが、
判断は難しいところです。役所は確認申請と検査済証は交付したそうな。

そうした感情的対立に巻き込まれるのも嫌でしたが、
建築協定のたたき台となる案を見ると、ますますやる気がなくなりました。
最低敷地面積、道路隣地からのセットバック、道路面での植栽、
建物の色などの項目があったと思いますが、こうした具体的目標を設けることが
良い街並につながるというのは、非常に短絡した思考だと思います。

例えば道路面に対して圧迫感を与えないという目的には、
セットバックの他にボリュームの分割という手法もあるはずです。
また、建物のデザインによって植栽が似合うものとそうでないものはあるでしょう。
色に関してはこれはもう全く趣味の問題で、青い瓦でも趣味のいい家はありますし
白は受け入れられやすいでしょうが、黒は判断が分かれるところでしょう。
そこらへんを論理的に説明など、できやしない。

最低敷地面積は不動産業者によるミニ開発を防ぐという意味で、
最近では自治体の条例でも採用されることが多くなってきていますが、
大きな敷地しか買えないということは、資金力のない若者の
家を建てるチャンスを狭めることでもあります。

ぼくはその頃ちょうど杉並s2邸が竣工を迎えていたのですが、
条例ができる前に申請を通したこの建物の敷地は66平米、20坪です。
しかし特に窮屈なこともなく、立派に家は建っています。
最低敷地面積の設定は、お金持ちでないよそ者を排除する
いびつな制度にしか見えません。

街づくり建築家はぼくにバトンタッチをしたいらしく、執拗に勧誘してきましたが
アンケートに批判的内容を書き込んだら諦めたようです。
運動自体もアンケートで「言いたいことはわかるが一律に強制するのはどうか」
という答えが多かったせいか、収束に向かっているようです。

運動家が「すてきなお家でー」みたいに言っているのが白々しかったな。
うちは敷地内に植栽はなく砂利を引いただけで、屋根もなくフラット、
白い壁も特に街並に合わせているわけではありませんので。

そんな制限を設けるより、電柱を地下に埋設する方が
余程、景観に貢献すると思うのですが。
道路の舗装をもっときれいにするとかね。

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