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2008年12月 3日 (水)

ヨーン・ウツソン氏死去

去る11月29日にデンマークの建築家ヨーン・ウツソン氏が亡くなりました。90歳。
オーストラリアのシドニー湾に浮かぶ、白い貝殻を重ねたようなシルエットが
あまりにも有名なシドニーオペラハウスの設計者です。

代表作は
・シドニーオペラハウス:1957-1973年(1966年辞任)
・キンゴーの公共住宅:1960年
・バウスベア教会:1976年

歴史に残った建築はシドニーオペラハウスだけですが、
皮肉なことに彼はこの建築の設計途中に辞任していて、
それ以降、2度とシドニーの地を踏むことがなかったそうです。
おそらく自分の作品ではないと思っている建築が代表作になる
というのは複雑な心境だったでしょう。

39歳の若さにして勝ち取ったコンペはスケッチ程度の精度で
一度落選していましたが、審査員のエーロ・サーリネンにより
発掘され、当選してしまいました。

放物線を描くような当初の屋根のシルエットは実現不可能で
構造設計者のオヴ・アラップとともに球面の組み合わせに変更して実現しました。
しかし1965年にオーストラリアの政権が交代すると、
莫大にふくれあがった工事費を追求され、設計料の支払いが中断したことにより
ウツソンは設計者を辞任してしまいます。

よって、オペラハウスの内装や一部外装仕上げはウツソンの設計ではありません。
劇場の平面計画さえも多目的ホールからコンサート専用ホールに変えられました。

ウツソンの他の作品を見ると、このひとはアルヴァ・アアルトの流れを汲む
光の扱い方に繊細な、いかにも北欧の建築家です。
代表作が全く気候の違うオーストラリアであったというのも
悲劇の原因であったのかもしれません。
他の作品写真は以下のリンク先にあります。

http://www.flickr.com/photos/seier/sets/72157600103941003/

http://flickr.com/groups/utzon/pool/

ぼくらの年代はシドニーオペラハウスや代々木屋内総合競技場といった
モダニズム末期のヒロイックな建築にあこがれた、ということが
まだ公言できる時代に建築を学びました。

今は建築史観がもっとひねくれていて、影響を受けた建築で
この辺りを挙げるのは抵抗があるのではないかと思います。
そういう意味では自分は幸せな時代に生きたのかもしれません。

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