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2011年12月22日 (木)

建築、アートがつくりだす新しい環境

固定車で行ってきました。R0010195
久々の現美は情報コーナーだったところにミュージアムショップが移転し、
運営がナディッフにかわっていました。
こっちの方が絶対いいです。

*建築、アートがつくりだす新しい環境/東京都現代美術館
 120115まで/10:00-18:00/12/26、1/4、10休、年末年始休/1100円

副題で「これからの”感じ”」となんとも生温い語句がついていますが、まさにそんな感じ。
今の建築に興味がある人は必見でしょう。ただ、カタログのできはよくない。
あれを見て落胆して本展を見に行かなかったら後悔します。

プリッツカー賞を受賞したSANAAの代表作、ロレックス・ラーニングセンターを中心として、
いわば複雑系とでも表現される今の建築の指向に焦点を合わせています。

出展は28点。うち建築家とクレジットされているのは16点。国内組が11点。

妹島和世+西沢立衛/SANAAはロレックス・ラーニングセンターの大きな模型を展示しています。
基本は天井高一定の巨大なワンルームですが、幾つかの円形の中庭と床面のなだらかな高低差によって、
空間が緩やかに区切られています。

ぱっと見、床面が傾斜している分、有効に使える面積が少なく無駄が多く感じられ、
またバリアフリーという面から見てもちょっと辛いところがあるかもしれません。

しかしヴィム・ヴェンダースが撮った3Dの実物映像はなんとも魅力的で、
そのマイナス面を上回る良さがあるように感じられました。
床スラブ厚はごついですが、それが緩やかに浮上してつくられる無柱のピロティ空間も美しい。

同じように床の複雑な高低差によって小さな住宅をつくったのが藤本壮介。
その極端な開放性が賛否両論を呼んだHouse NAを巨大な模型で体感することができますが、
空間レイアウトは案外保守的で、外に面する部分はほとんどが用途のないバルコニーだったりします。
いちばん奥のキッチンから見返すと、空間が層に連なっていて守られている感じがあるのは発見。

ロレックス・ラーニングセンターを縦方向に展開したように見えたのが伊東豊雄の台中メトロポリタンオペラハウス。
そのマイナス面は共通していると思います。
こちらは用途上、ワンルームとはなり得ないので、せっかくのダイナミックにうねる空間に壁が入ってしまいます。
これをどのように解決するかがひとつのキーポイントになるように思いました。

逆にロレックス・ラーニングセンターの要素を削ったように見えたのが、西沢立衛の豊島美術館。
床レベルは均一で天井=屋根が緩やかな勾配を描いています。
そのスラブ厚は薄すぎる感じを受けましたが大丈夫なのでしょうか。

同じような緩やかなシェルを採用しているのが石上純也。
建築というより美術作品で、3mm厚のガラス板25枚をビニルテープのようなもので張り合わせ、
その密閉された下部空間に空気を厚入することにより薄いガラスドームをつくっています。

それは文字通りはかない。というか無理があるように見えます。
圧力でビニルテープが伸びてきていまにも崩壊しそうです。
ベネチア・ビエンナーレの作品も崩壊したそうですが、これは意図したものなのでしょうか。

ロレックス・ラーニングセンターの床面を通路として切り出したようなのが近藤哲雄のA Path in The Forest。
軽やかなキャットウォークが森のなかを舞うイメージは美しいですが、
実現化の際にごつい丸パイプの構造体が出てきてしまったのは残念。
ディテール次第ではもう少し何とかなったような気もします。


フラクタルを使って複雑さを表現しているのが平田晃久とマシュー・リッチー。
平田は館外にブルームバーグ・パヴィリオンなる東屋をつくっていますが、
実際に部屋になっている部分は正三角形平面、天井高一定のプレーンな空間で極めて単純です。
複雑に感じさせる部分はいわば屋根飾りに過ぎず、その外形は魅力的なだけに至極残念。
基本、外形線を空間化しているフランク・ゲーリーを見習ってほしいな。

平田のその他の展示は、ひだと呼ばれるうねった壁で構成される建築や家具のプロジェクトで、
これもとても魅力的なのですが、建築にして内外を区切るガラスが入ってしまうと、とたんにつまらなくなる。
なんとか解決してほしいポイントです。

うねる建築の元祖とも言えるアメリカの大御所、フランク・O・ゲーリーは、最近作の超高層ビル、
エイト・スプルース・ストリートのスタディ模型を展示しています。
ゲーリーはぼくが最もリスペクトしている建築家で、直感的と言うかアート的作風で、
今見てもすごいことを何十年も前に実行したりしています。

今回の高層ビルでも採用している、少しずつずらしていく積み木という最近よく見られる手法はこのひとが始祖。
竣工写真を見てすごいのつくったなと思いましたが、スタディはそれをさらに上回っていました。
コストが合わなかったのでしょうか。スタディ案も是非実現化してほしいです。

妹島和世は小平市立仲町公民館・仲町図書館のモデルも展示しています。
妹島はコールハースから影響を強く受けたとよく言われますが、
NYの美術館も含めて、今回見た感じではゲーリーの影響も色濃く感じられます。

その他では多数のレンズを連結して3Dの壁をつくった荒神明香、
干し草で内部型枠をつくり、コンクリートを打設して草を牛に食べさせて完成させたという、
一度目にしたら忘れられない、アントン・ガルシア=アブリルによる迷建築、トリュフ、
あらゆるスケールのモデルが絵になっている実力派、スタジオ・ムンバイによる展示などが見所としてあげられます。

見終わって、ミュージアムショップに寄ったらもう時間がなく、常設展示にまわれなかったくらい充実した企画展でした。

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