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2012年3月 5日 (月)

プロジェクト・ジャパン

建築家のレム・コールハースとキュレーターのハンス=ウルリッヒ・オブリストによる31a90
日本のメタボリズム運動の記録です。

ざっと通して見ただけですが、昨年UIAに合わせた大規模なメタボリズム展を開催したばかりで、
内容がかぶっており、なんともタイミングが悪い感じです。
それにコールハースはメタボリズムとはまったく縁遠い作風ですし、
なぜ彼がこの本を出そうとしたのかがよくわかりません。

本書のなかでメタボリズム建築のその後をコールハースの娘のチャーリーが
撮影しているので、そのフォローという意味合いがあったのだろうか。
でもメタボリズム建築は実際は山梨文化会館などごく少数の例外を除いて、
増築=新陳代謝することがなかったのは日本にいる建築家には自明のことです。
海外向けならともかく、日本語版をつくった意味が分からない。
それよりS,M,L,XLやMutationsの和訳を出してほしい。

ちなみにちょっと内容に触れるなら、日本の建築家は書かれているほど
大衆に知られることはありませんでした。
KENZOといったら高田賢三で、決して丹下健三ではなかった。

さて、メタボリズムと言えばこのひと、菊竹清訓です。
昨年、9月のメタボリズム展のシンポジウムに参加しながら11月に体調を崩し、
12月に心不全であっというまに亡くなってしまいました。
下のPDFファイルには元所員の建築家、内藤廣と対談が収録されています。

『代謝建築論』 菊竹清訓
inaxreport.info/data/INAX171_15_37.pdf

プロジェクト・ジャパンで初めて話すと書かれたことも含まれています。
なかなか充実した内容でお勧めなのですが、カーンとの接点の話が興味深い。

菊竹さんのスカイハウスが竣工したのが1958年。
世界デザイン会議というのが東京で催されたのが1960年。
そのときにアメリカの巨匠、ルイス・カーンが来日し、菊竹さんとスカイハウスで
槇さんの通訳のもと、一晩対談をしたそうです。

カーンは同時期にスカイハウスと似たような形式の建物をつくっています。
ペンシルベニア大学のリチャーズ医学研究所で、1957年より設計を始め、
1960年に竣工したそれは、コーナーの柱を省き、1階をピロティにして床を浮かせ、
そのグリッド状の床構造を露出するという点でスカイハウスと類似しています。

どちらのアイデアが先だったのか気になるところですが、その後は両者の作風は近づくことなく
本当に一瞬の接触でありました。

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