« 代官山にて | トップページ | 伝説の自転車少女 »

2012年4月20日 (金)

大友克洋GENGA展

2007年3月7日の日記に書いていますが、ぼくが今まで読んだ漫画のベストは、R0011211
手塚治虫の「アドルフに告ぐ」と、大友克洋の「童夢」です。
その大友氏が震災復興支援の一環として原画展を開いています。

*大友克洋GENGA展/3331 ARTS CHIYODA
120530まで/5月15日休/予約制11:30、13:00、16:00、17:30(10:30土日祝)/1500円

3331 ARTS CHIYODAは上野末広町にある廃校を利用したアートコンプレックスです。
元校庭には大きな木が茂り、木製の大階段を上るとゆったりとしたカフェスペースに。
今回の展示はその奥にあり、床壁天井は白く塗られ、照明は主に蛍光灯が使われています。

第1室では周囲の壁に単体のイラストレーションが、6本立てられた柱状の壁には
抜粋されたAKIRA以外の漫画の原画が展示されています。

大判のイラストレーションは圧巻の一言。ものすごい数の線を描き込みながら、
修正がほとんどまったくと言っていいほどなされていないのは驚きです。
イラストのモチーフも独創的で、次から次へとアイデアが湧いている感じ。
見たこともないモノを描くデザイン能力も素晴らしい。
このイラスト群を見るだけでも行く価値はあります。

第2室と第3室は大きなガラスでできた何段もの棚にAKIRAの原画がすべて展示されています。
その数、実に2300枚。もちろんすべて見るのは現実的ではありませんが、
AKIRAを読んでいれば、印象に残っているシーンを発見するという楽しみ方はあるでしょう。

最後の第4室にはAKIRAに登場する金田のバイクのレプリカが展示されています。ウェアもあり。
500円を寄付するとまたがることができますが、なんかミーハーな感じがしてやめておきました。
部屋の反対側には童夢で描かれた有名な壁の球状の凹みが再現されています。
こちらは無料で童夢ごっこができます。(笑)

会場を出るとグッズコーナーが。カタログはもちろんBEAMSとコラボしたTシャツやポスターなどがあり、
ぼくはクリアファイルを購入しましたが、売り切れている品も多かったようです。

ちょっとうちからは遠いですが、まったりできる魅力的な展示スペースでした。
平日にもかかわらず入場客は多く、当日券もありますが予約していった方が安心でしょう。

大友氏の作品については手塚治虫と比べて考えてみます。
コマ割りやふきだしの処理など手法面では意外なほど保守的です。
大友氏は超絶技巧で手塚氏を圧倒していますが、その分ストーリーが弱い。
逆に言うと、ストーリーだけ話すと単純で荒唐無稽に感じられるものを、
絶対的な描き込み量と高度なテクニックでリアリティを出して納得させています。

なので衝撃は受けますが、手塚氏の作品と比べると感動は薄い。
ストーリーに性や恋愛感情を持ち込まないところもドライな大友氏の作風には合っていますが、
やはり読み手としては共感するところが少なく、物足りない。
ぼくが「童夢」に強烈な印象を受けながら手元に置いていないというのもそうした理由からでしょう。
大友氏が近年手がけている映画に興味を示さないのも同様です。

ただ最近になってこそ凝った描き込みの漫画が増えていますが、
それを1980年代初頭に既に実行していたことは驚きに値します。
彼がいなければ浦沢直樹のようなヒット作家も存在しなかったかもしれません。

« 代官山にて | トップページ | 伝説の自転車少女 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1932160/52629154

この記事へのトラックバック一覧です: 大友克洋GENGA展:

« 代官山にて | トップページ | 伝説の自転車少女 »