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2012年4月25日 (水)

箱の産業から場の産業へ

昨日は東大建築学科教授である松村秀一さんの講演に行ってきました。0403701

内容の概略は以下の通り。

長期優良住宅とか200年住宅とかいう施策があるが、日本の住宅技術はもともと優秀で
取り壊されているのは耐久性とは違った理由によると思われる。
そもそもデータとして日本の住宅が米国より短命な値が出ているのは大戦があったからで、
今わざわざ200年持つ住宅をつくるというのは過剰投資である。

おそらく問題は登記を土地と建物を別に行うという日本独特の制度にあって、
建物を壊すことに抵抗がないからであろう。
欧州では今ある建物がその街のアイデンティティになっていて、
地域に強い愛着もあって、建物が崩壊しかけてきてもなかなか取り壊さない。
日本でもこれから街をどうするのかという視点が重要となってくる。

日本の建築物は現在その3分の2が1981年の新耐震基準施行以降に建てられたものであり、
耐久性がある上、人口の高齢化が進むことにより新築を求められる機会も減少している。
さらに近年は空家率も増加の一途をたどり、今や13%と他国に見られない状態になっている。
今やハコは余り、余剰空間が増加している。

当然新築件数は減り、建築物への投資額はバブル期の半分にまで下がっている一方、
リノベーションの市場は徐々に拡大していて、全体の20数パーセントを占めるまでになっている。

ただし、新築分の仕事が自然にリノベーションの市場に移行するかというとそうではなく、
供給側がソフト面を含めた提案を積極的に行う必要がある。

例えばニューヨークのソーホー地区では空いた建物にアーティストが転がり込み、
ゲリラ的にリノベーションする一方で政府はこれを追認し、
地区は高級マンション街として生まれ変わった。

日本でも同様な試みがなされようとしている。
今ある箱に違う場をつくりだすこと。
そのためにまずは中古物件を個別に査定し、口コミなどにより市場に乗せる。
そのあとは10年20年単位の暫定型サブリース利用として建物をコンバージョンするなど。
成功している例としてUR住棟ルネッサンス事業や3331アーツ千代田などが挙げられる。

これは産業の大転換である。
ハコの産業から場の産業へ。ないからつくるからあるモノを使うへ。
様々な専門家がコラボしての事業が必要となってくる。

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