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2012年5月30日 (水)

スウェー・ハウス

ネット上のわずかなヒントから場所を特定して見に行ってきました。比較的ご近所。R0011406

建物全体がよじれているイメージがありましたが、基本、方形平面の1点を短辺方向にセットバックさせているだけ。
単純な操作の割には効果が出ていると思います。しかしこのファサードは3次曲面。
開口部の納まりが大変だったでしょう。ある程度はシールに頼っているのか。

この面の開口部についてはおそらく通常の壁用の下開き窓を使っているのでリスキーだと思います。
豪雨のときはこの傾斜した壁面上を雨が流れていきます。一応窓庇はありますが幅が狭く、あまり機能しない。
雨は近い将来、開口部側面のシールの切れたところから壁内に侵入するでしょう。
またそれ以前にサッシュ底辺には常時水がたまり、そこから漏水する恐れもあります。

この住宅、アトリエ・ワンによるものですが、土地購入から竣工までの顛末を施主サイドから書いた、
「ねじれた家、建てちゃいました。―建築家アトリエ・ワンとすすめた家建て日記」なる本が発売されています。
非常にラフなコミックエッセイで、漫画部分だけだとあっという間に読めます。
で、その程度の読み込みで感じた違和感が幾つか。

施主は建築家コンペに依頼したり、個別に建築家と面談をしたりしてかなり多くのひとの手を煩わせています。
建築家コンペというのは、ぼくも参加したことがあるハウスコ。これの2006年6月の世田谷N邸コンペ。
14案提出があるも採用案なしという結果になっています。6組の建築家には会ったらしい。
小規模ではあるものの、皆さん力が入った提案をされています。
ハウスコは採用案なしが多く悪名高いですが、心引かれた6組には何らかの謝礼があっても良かったのではないか。

それはその後に会った建築家にも当てはまります。漫画を見る限り模型まで出していたりする。
もし複数の件が同時進行していたなら、やはり施主開催のコンペとして参加費は出した方がいい。

だいたいデザインの強い事務所は、最初のコンセプトやアイデアを重視していて、
それを生み出すべく悪戦苦闘しているわけで、みんな真剣で多大な労力をかけているのです。
その作業は施主サイドからは見えづらいのかもしれませんが、リスペクトしてほしい。
こういう本が出て、安易に無報酬で建築家にプレゼンを求める風潮が広がるのが怖いです。

アトリエ・ワン案は彼ららしいかわいらしく、柔らかなよい印象を受けますが、これは後出しじゃんけんです。
それまでの多くの建築家の提案があって、それで施主の求めるものの方向性が固まっていき、
それをうまく建築家が拾い上げたという面もあるでしょう。

敗れ去った建築家に敬意=お金を。ひとりあたま5万円くらいでもいいんです。気持ちです。それでも事務所は赤字なのです。

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