« 家ブーム | トップページ | オークション詐欺 »

2013年6月18日 (火)

変奇館

エッセイスト、故山口瞳氏のwikiの項目に以下のような記述があります。Henki1

 国立に移住する際、師と仰いだ高橋義孝の紹介による若手女性建築家に
 自宅の設計をまかせたところ、「コンクリート打ちっぱなし、家の真ん中にある
 半地下の部屋が食堂」という、非常にモダンで実験的な家ができあがった。
 山口自身は、和風な家が好みであったが、高橋との義理のため、このうちに
 我慢して住んだ。大雨の際に地下の食堂が浸水したり、晩年の足が不自由に
 なった際でも、食堂にいくため一々階段を下りなければならない等、
 「実験的な家」は住むには不自由な家であった。

氏は変奇館日常(1972)変奇館の春(1973)なる本を残していて、
変奇館なるネーミングは永井荷風の偏奇館をもじったものとか。
建物竣工はこの頃になるのでしょう。

で、国立に変奇館を見に行ってきました。ぱっと見の第一印象は無骨というもの。
RC造と鉄骨造の混構造という点では後年の作品と共通していますが、
むき出しの鉄骨が重量鉄骨でごつく、それを1/4円のヴォールトで
玄関上部にオーバーハングさせているものだから、確かに変奇な感じがします。

しかもこのヴォールトがいかにもとってつけた感じで、それ以外は至って普通な切妻。
Google Mapで見る屋根伏も普通のL字型で、過激な食堂の様子はわかりません。

設計した若手女性建築家とは日本女子大住居学科の高橋公子さんです。
ドイツ文学者だった高橋義孝氏の息子、高橋鷹志氏の奥様で
1997年に亡くなられています。

高橋公子さんは管の家と呼ばれる自邸の設計で知るひとには知られています。
こちらは1983年竣工。うってかわったイームズ邸を思わせる繊細な軽量鉄骨造で
伊東豊雄氏による類似した構成である花小金井の家と同時期であり、
同じようにユニットで組んだシルバーハットより1年先行しています。

と、いう時間軸は今回調べて初めて知りました。もっと昔の建物だとばかり。
しかし変奇館からの変化は大きく、この間に何があったのか。
高橋公子さんはメディアに載らない方で、経歴は生年すら確認できません。

で、とりあえず唯一の資料である「時間の中の住まい―高橋公子と五つの住まいの現在」
をAmazonでポチリました。楽しみ。

« 家ブーム | トップページ | オークション詐欺 »

建築」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1932160/52667513

この記事へのトラックバック一覧です: 変奇館:

« 家ブーム | トップページ | オークション詐欺 »