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2013年8月23日 (金)

安部公房とわたし

読了。
とりあえず、登場人物のまとめ。

・安部公房:1924−1993 1947年真知と結婚。1980年別居。
・安部真知:1926−1993 装丁や舞台美術で夫と協働。
・安部ねり:1954− 安倍夫妻のひとり娘。医者。2011年に安部公房伝著。
・山口果林:1947− 女優。1969年安倍と師弟関係より愛人に発展。

この本は山口果林の自伝です。それもメモに頼った随分あいまいな。
帯にある「君は、ぼくの足もとを照らしてくれる光なんだ」というセリフは本文中に登場しません。
またその下にある「初めて明かされる文豪の「愛と死」」にも違和感あり。
5年に渡る癌との闘病は新事実かもしれませんが、愛についてはほとんど描かれていない。

山口と安部は愛人関係にあったというものの居は杉並と箱根に別に構えています。
山口は当時、それなりに売れていたらしく作家と会える時間は限られていた。
また金銭的に自立していたので、多くのものを山口が支払ったようで囲われていたという印象でもない。

安部の方からは夫人と別居したり再婚の許可を取り付けたりとそれなりに動いていますが、
山口の方からのアクションは殆ど描かれていない。
口絵にある山口のヌード写真がなければその関係を疑ったかもしれません。

山口は終始二人の関係がマスコミにバレないか怯えているように見えます。
仕事が第一の彼女は安部と結婚したかったのだろうか?
それは遂げたとしても略奪愛と呼ばれ、山口の仕事にはマイナスに働くでしょう。

結局彼女は22歳から46歳という人生の大事な長い時期を愛人という陰の存在として過ごします。
ぼくは読了してもそれがそれ程の価値のあった時間だとは感じられませんでした。
山口はただ流されていただけではなかったか。

唯一その意志を感じたのはこの本の出版で、2年前に娘によって書かれた安部公房伝に対するアンチテーゼ。
伝記では山口の存在は抹消されているようです。
この本のなかで山口は娘の判断ミスが安部の死を早めたのではないかと暗に言及しているほど
娘に対しては攻撃的に描かれています。

やられたら倍返しってやつでしょうか。

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