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2015年3月16日 (月)

記憶と仕掛け

ぼくが卒業旅行で影響を受け、しばらくはそれにズッポリはまっていたのが西欧の空間。R0012337
典型的なのがローマにあるパンテオンで、円形の平面の上にドーム天井がかぶさり、
その頂部のところだけ丸い穴が開いていて空が見え、明かり取りにもなっている。

壁で囲い込んだ暗いスペースが最初にあって、そこに象徴的な形で開口部を設ける
というのが西欧建築の空間の原型で、この場合開口部の設け方というのが仕掛けにあたります。

そうした仕掛けは人間の記憶の深層に訴えかけてきます。アルド・ロッシのガララテーゼ、
ハンス・ホラインのアプタイベルク、また安藤忠雄のTimesにもそういう要素がある。

建築家は過去に体験した建築の記憶を頼りにいろんな仕掛けを講じる。
自分であれば世田谷s邸のスリット状のトップライト、正方形平面の中庭、
1階の入れ子になっている部分の真壁構造と欄間のガラスは無意識な仕掛けでした。

しかし一方でそうしたものに頼らず、まったく新しいやり方で建築をつくるという
意欲もあります。自邸である世田谷t邸はこちらの文脈にあります。

屈曲した3次元チューブという構成だけがあり、仕掛けた開口や詳細というのはほとんどない。
そこには実家の和的空間も、この前に建っていた画家だった祖父による洋館の記憶も
一切が含まれていません。むしろフランク・ゲーリーの建築の影響が強い。

スケールも特に高さ方向でいわゆる住宅のモジュールからはみ出た寸法としています。
結果的に出来上がったのはなんともつかみ所のない空間。慣れるのに10年かかりました。
そこにあるのは西欧でも和でもないがらんどう、事務所名にあるblankなのです。

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