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2015年8月14日 (金)

紙の月

昨日の日記でちょっと触れた角田光代の小説、紙の月の映画化。126分もあるのに71iglfo25ml_sl1132_

何を流していたのっていうくらい内容が薄く、原作の良さがかき消されてしまっている。

基本は不倫相手に貢ぐ女性銀行員による横領事件なのですが、作者はお金を介在してしか恋愛ができなかった

という能動的な女性を描きたいという思いがあった、とのこと。小説は読んでいませんが、

主人公が次々と犯罪に手を染め、変貌を遂げていく姿を疾走感を持って描いているらしい。

しかし映画版にはディテールの描写がほとんどなく、何の変哲もない横領事件にしか見えない。

久々に見た宮沢りえがどんな変化をするのかと思っていましたが、最後まで中年のおばさんだった。

浮気相手の大学生も気味の悪いストーカーにしか見えない。

消えたディテールを挙げるなら過去裕福だったという主人公の設定。最初に会った時、いいなと

思ったんだ、という大学生の台詞。夫のしらしめの言葉や態度も笑って流せるようになった

という主人公の変化。梨花さんとお金があるからいっしょにいるように見える?

僕は何を買ってほしいとか言ったことがある?という大学生の台詞。同じくお願い、

ここから出してと泣いた、という大学生からの別れ言葉。逃亡先のタイでパスポートの提示を

求められた時、つぶやいた最後の言葉、私をここから連れ出してください。

これらがないから主人公と大学生が何故惹かれ合って何故別れたのかがわからない。

主人公と大学生の関係がほとんど描かれない代わりに、映画版ではオリジナルで同僚銀行員

2人を登場させ、横領が発覚するまでのスリルを描いている。これではほとんど別物です。

更に納得いかないのは横領を罪と描かない場面展開。終盤で逃げる主人公が同僚に対し、

一緒に行きますか?と上から目線の台詞。子供の頃、募金をするために父親の財布から

5万円を抜いたという過去。逃亡先のタイで、募金をした子供が成長した姿と対面する救い。

観客をスカッとさせたかったのかもしれませんが、これはダメでしょう。犯罪者に共感は出来ない。

こんな映画が映画賞って、日本映画の評論は自己癒着でもおこしているようにしか見えない。

小林聡美については、かもめ食堂で選ばれず、本作で助演女優賞などどう考えてもおかしい。

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