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2016年7月20日 (水)

国立西洋美術館が世界遺産登録

経済効果としてはプラスに働くのでいいことだと思います。あの辺鄙な富岡製糸場にさえ1024pxnational_museum_of_western_ar

ひとは殺到しました。

ただこれは近代建築の巨匠コルビュジェというひとと、その世界への影響例として

拾われただけで、建築自体がコルビュジェの作品群の中で、また建設された当時の

日本建築界で影響力のある特筆ものだったかというと微妙です。

コルビュジェは現地視察として事前に1度しか来日しておらず、竣工した現物は見ていない。

彼の事務所が描いた図面は基本設計図面のみで、それも寸法すら記入されていなかった。

立面図では屋上部分の工作物が省略されていたり、概算見積もりもできない状態。

実施設計と現場管理を担当したのはかつてコルビュジェの事務所に在籍した

前川國男、坂倉準三、吉阪隆正の3人の建築家で、わざわざモデュロールから

ひとつひとつ寸法を起こしていったそうな。

当時はラ・トゥーレの修道院が平行して動いていたのでコルはおそらくそっちに注力していた。

ただ西洋美術館が特殊な例だったわけではなく、コルビュジェは構想にこだわるタイプで

仕上がりにはさほど興味はなく、現地事務所に任せるというケースは多かったらしい。

ただ西洋美術館に関してはコルビュジェはきれいに仕上がりすぎるのを危惧したという

話もあります。当時から日本の施工業者の技術レベルは高かった。案の定、竣工後

日本国内からもコルビュジェの当時の作品にしては迫力がないとの評が上がりました。

そうした事情は周知されていたため、西洋美術館に行く=コルビュジェの建築を体感する

という認識は今でも建築界では一般的ではありません。

西洋美術館の竣工当時は丹下健三の香川県庁舎や菊竹清訓のスカイハウスで伝統論争や

メタボリズムなどの動きが始まっていた。近代建築は日本でも既に次のフェーズに

入っていて、西洋美術館が特段のインパクトがあったとも思えません。

なのでぼくから見ると今回の決定は微妙な印象があります。西洋美術館は

阪神淡路大震災後に大規模な免震工事が行われ、オリジナルが損なわれないように

細心の注意が払われましたが、一方で日本の近代名建築は次々と壊されています。

DOCOMOMO
にはもっと頑張ってもらいたい。

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